3DスキャンしたメッシュをFusion360に取り込む方法
ここで紹介する方法は、単純にメッシュをFusion360で開くのではなく
三角ポリゴンだらけのメッシュデータを、四角ポリゴンに変換してFusion360で開きTスプラインにする流れを紹介していきます。
え?穴が空いたメッシュを閉じてからやりたいだって?
じゃあそこからやろうか
四角ポリゴンで出すところだけ見たいという方はメッシュミキサーの部分飛ばしてください。
用意するのはメッシュミキサーとメメント
以下公式サイトからダウンロードし、インストール
追記16/5/26:Mementoは商用リリースを機に名前をReMakeに変更されました。
まずはメッシュ確認から穴の塞ぐところまで
メッシュミキサーを使います。
(実はメッシュミキサー使わなくても、メメントだけで穴も塞ぐことできたりするんですが、メッシュミキサーのほうが簡単だと思った)
メッシュの確認
はい、うさぎです。わかりやすいようにワイヤーフレーム表示にしてます。
(知っている人は知っている、これ自前で3Dスキャンしたデータじゃないです。最初からメッシュミキサーにこのデータあります)
底を見れば穴が空いていますね。
メッシュの穴を塞ぐのにはメッシュミキサーの機能が便利なので使っていきましょう。
穴を塞ぐ
まずツールバーから[選択]をクリックし、穴の空いている部分をすべて選択します。
そして[選択]>[編集]>[削除と充填]をクリックします。
一見これをやると削除されてしまうんじゃ…ってなりますが、穴を塞いでくれます。
Replace/Fill Typeを「再メッシュされたフラット」に切り替えて、適用を押します。
あとは選択をクリアします。
出力
最後にエクスポートでSTLを保存します。
ここからはメメントが活躍していく
メメントを使い、ポリゴン数の削減と四角ポリゴンへの変換を行います。
まぁ、ポリゴン数削減はやらないで、いきなり四角ポリゴンで出力してもいいんですが、一応やってみましょう。
メメントでSTLを開く
[Load a model]をクリックし、先ほど出力したSTLを読み込みます。
ポリゴンの状態を見やすくするために、ワイヤーフレームありにします。
ポリゴン数の削減
画面左のツールバーから、[Decimate model]をクリックし、ポリゴンの削減率を決め[Apply]を押します。
四角ポリゴンでOBJ出力
最後に、[Export 3D model]で出力します。まだこの時点では三角ポリゴンが入り乱れて汚い状態ですね。
Export as のところを「OBJ(Quads)」に切り替えて、ポリゴン数を決めて[Export]を押します。
やっとFusion360の出番
では出力したOBJファイルをFusion360で開き、Tスプラインに変換していきましょう。
Fusion360で開く
Fusion360でOBJファイルを開くには、データパネルからアップロードする必要があります。
これで四角ポリゴンだけ(だと思うけど)のメッシュを開くことができました!
メッシュミキサー、メメントとY軸の方向が違っていたため、横向きで開いてしまうことがあると思いますが、移動コマンド等で向きを直しましょう。
Tスプラインに変換
ここまで来れたらあとは簡単です。
[ユーティリティ]>[変換]をクリックします。
選択フィルタをメッシュに切り替えて、うさぎのメッシュボディを選択し、OKを押します。
ぱぱっとTスプラインに変換完了!
めっちゃ滑らかですよ。
Tスプラインに変換したので、もちろんTスプラインの編集コマンドがつかえます。
これで3Dスキャン等でつくったメッシュを3DCADに持ってくることができましたね。
今日はここまで!!
スカルプ(Tスプライン)でエッジの立て方とエッジ端の抜き方
Fusion360のスカルプは、中身がTスプラインと呼ばれるプラグインソフトなんですが3DCADらしくないモデリングをします。ほとんど3DCGのポリゴンモデリングと同じです。
3DCGでポリゴンモデリングを嗜んでいた方にはとっつきやすいのですが、全く触れてこなかった方にはかなり癖のあるモデリングに感じると思われます。
3DCADでエッジを立たせたければ、そうなるようにスケッチして押し出す等すればよかったのですが、Tスプラインはそうはいきません。
Tスプラインでは、ビシっとしたエッジの立たせ方は色々あります。
今回はこの円筒系モデルを例にして、エッジの立たせ方をいくつか見ていきましょう。
記事の後半にはおまけとしてエッジ端の抜き方も書いたので、興味のあるかたはぜひ!
折り目
折り目を使うと、まさにビシっとしたエッジを得ることができます。ただし全くRのないエッジになるので案外使うことがあまりないのかもしれない。
[折り目]を実行し、折り目をつけるエッジを選択します。
エッジの選択ですが、ダブルクリックでループ選択することができるので覚えておくとやりやすくなります。
エッジの挿入
エッジの挿入は、ディテールを作りこむときなどにも大変便利なコマンドです。エッジを挿入しエッジとエッジの間隔を狭くし密度を上げることで、ビシっと立たせることもできます。
[エッジを挿入]をクリックし、まずは既存のエッジを選択します。ぐるっと一周選択するときは、先ほども紹介したループ選択が便利ですよ。
あとは挿入位置を決めるだけです。緑のラインがプレビューなのでそれを参考にしながら調整します。
ダイアログボックスの挿入位置には数値(今回は-0.916)が書かれていますが、あまり気にする必要はありません。「この数値だとRいくつになる」とかなんてわからないので。
それから、エッジを挿入するときはスムース表示だとわかりにくいので、ボックス表示に切り替えることをお勧めします。Alt+1でボックス表示、Alt+3でスムース表示になります。
挿入位置を決めたら、OKを押してスムース表示で確認すると小さいRでエッジが立ちましたね。
エッジ間の距離をもっと狭めれば、よりRが小さくなりエッジが際立つようになります。
ベベルエッジ
ベベルと聞くと、面取りかな?と思う方もいらっしゃることでしょう。まあその通りですが、Tスプラインでベベルエッジを使うとエッジがその場で増えるだけです。
[ベベルエッジ]をクリックし、まずエッジを選択します。今回はセグメント数1のまま、エッジ挿入位置を狭めてOKを押します。
セグメント数1でエッジを挿入しても、結構きれいにエッジが立ちます。セグメント数2にすればより小さいRになりビシっとなりますね。ちなみにこれ以上セグメントを増やしても効果はあまりありません。
おまけ:端の抜き方
エッジを立たせるのは結構簡単にできましたね。ただ問題はエッジの端をどう抜くかです。
小さいRで立たせたエッジを、ある場所からRを緩くしていく…そんな感じの作り方を見ていきましょう。
ちなみに、上のエッジ構成はこんな感じ
エッジの影響は2つ先まで
まずTスプラインの性質から見ていきましょう。Tスプラインは曲率連続のサーフェスを作り出します。まぁここは理解できなくてもいいですが、大事なところは、ある面,エッジの変化は2つ先の面,エッジまで影響を及ぼします。
例を出して見てみましょう。
横に4枚並んだ面があります。Aの面を動かすと、BとCの面に影響がでます。Dは影響を受けません。
面を例に出しましたが、これはエッジでも同様です。Aのエッジに折り目をつけた場合、BとCにも折り目の影響がでますが、Dでは完全に消えます。
エッジに置き換えて見てみましょう。Aのエッジには折り目を付けています。それ以外のエッジには折り目を付けていないため、徐々に折り目の影響は消えていきます。Bは少し強めに、Cではだいぶ消えかかって、Dで完全に折り目の影響が消えます。
これはベベルエッジでも同様です。
このようにTスプラインでは、「小さなRをつけたエッジ」をエッジ,面の数を調整することによって徐々に消していくことが簡単にできます。
どうでしたでしょうか
まぁ今回のはシンプルな形状を例にしたので、簡単でしたが車などになると難しくなってきます。いつか車を例にして記事書けたらいいなぁ…。
エッジの立たせ方と抜き方は以上です!
スナップ距離の設定とスナップをOFFにする方法
Fusion360のグリッドスナップは使う作業スペースによっては使いやすいですが、邪魔になることもあります。
モデル作業スペースでソリッドモデリングを行う場合は、1mm毎、あるいは5mm毎にスナップさせると描きやすいこともあります。しかし、スカルプでモデリングする場合はとにかく邪魔になります。
今回はスナップ距離の変更とスナップを切る方法を書いていきます。
グリッドのスナップ距離って何で決まるんだ?
Fusion360の初期状態では、スナップ距離はカメラのズーム度(グリッドの細かさ)に応じて変わります。
最大スナップ距離は果てしなくありますが、最小は0.01mmスナップになります。
その場でカメラを引けばスナップ距離は大きくなり、ズームすれば細かくなるので使い分けができれば大変便利ですね。
外形を描くときは、カメラを引いて描き、ディテールを描くときはズームする…という感じで。
しかし、スナップ距離がいちいち変わるのが「嫌だ」と感じる方もおられるでしょう。
スナップ距離を固定しよう!
スナップ距離の設定を行えば、カメラのズームに関係なくずっと1mm毎にスナップさせることも簡単にできます。
画面下部にあるナビゲーションバーから、[グリッドとスナップ]をクリックし[増分を設定]をクリック!
増分というのがグリッドスナップ(グリッドの細かさ)のことですね、ここの数値を変えるだけでグリッドのマスの細かさも変わり、スナップ距離も変わります。
カメラを引いてもグリッドは1mmごとのマス目に固定され細かくなりました。(ちょっと見栄えは悪くなる)
そうそう、押し出しとかも先ほど設定したスナップ距離を引き継ぎます。
スナップ距離の設定については以上です!
補足:
グリッドのスナップ距離は[増分を設定]ではなく、[グリッド設定]で変えることもできます。その場合は押し出し等のコマンドは増分移動の設定が適用されるので、注意しましょう。
移動とかのスナップがいらない!
スカルプ(Tスプライン)でモデリングしていく場合は、そもそもスナップが邪魔です。1mm毎に細かくスナップする設定にしてもやはり邪魔になります。まぁ0.1mm毎であればいいでしょうけど、それはもうスナップ切っていいよねってなります。
スナップを切るのは簡単
[増分移動]のチェックを外せば押し出しや移動コマンドなどのスナップがOFFになります。
もしグリッドのスナップを切る場合は、[グリッドにスナップ]のチェックを外しましょう。(切らなくてもいいと思うけど)
スカルプで作業する場合は、グリッドスナップのON/OFFは気にしなくてもいいですね。気になるのは[フォームを編集]などでエッジ等を動かすときです。その場合は[増分移動]をOFFにすればスムーズに動かすことができるようになります。
スナップについてはここまで!