スカルプ(Tスプライン)でエッジの立て方とエッジ端の抜き方
Fusion360のスカルプは、中身がTスプラインと呼ばれるプラグインソフトなんですが3DCADらしくないモデリングをします。ほとんど3DCGのポリゴンモデリングと同じです。
3DCGでポリゴンモデリングを嗜んでいた方にはとっつきやすいのですが、全く触れてこなかった方にはかなり癖のあるモデリングに感じると思われます。
3DCADでエッジを立たせたければ、そうなるようにスケッチして押し出す等すればよかったのですが、Tスプラインはそうはいきません。
Tスプラインでは、ビシっとしたエッジの立たせ方は色々あります。
今回はこの円筒系モデルを例にして、エッジの立たせ方をいくつか見ていきましょう。
記事の後半にはおまけとしてエッジ端の抜き方も書いたので、興味のあるかたはぜひ!
折り目
折り目を使うと、まさにビシっとしたエッジを得ることができます。ただし全くRのないエッジになるので案外使うことがあまりないのかもしれない。
[折り目]を実行し、折り目をつけるエッジを選択します。
エッジの選択ですが、ダブルクリックでループ選択することができるので覚えておくとやりやすくなります。
エッジの挿入
エッジの挿入は、ディテールを作りこむときなどにも大変便利なコマンドです。エッジを挿入しエッジとエッジの間隔を狭くし密度を上げることで、ビシっと立たせることもできます。
[エッジを挿入]をクリックし、まずは既存のエッジを選択します。ぐるっと一周選択するときは、先ほども紹介したループ選択が便利ですよ。
あとは挿入位置を決めるだけです。緑のラインがプレビューなのでそれを参考にしながら調整します。
ダイアログボックスの挿入位置には数値(今回は-0.916)が書かれていますが、あまり気にする必要はありません。「この数値だとRいくつになる」とかなんてわからないので。
それから、エッジを挿入するときはスムース表示だとわかりにくいので、ボックス表示に切り替えることをお勧めします。Alt+1でボックス表示、Alt+3でスムース表示になります。
挿入位置を決めたら、OKを押してスムース表示で確認すると小さいRでエッジが立ちましたね。
エッジ間の距離をもっと狭めれば、よりRが小さくなりエッジが際立つようになります。
ベベルエッジ
ベベルと聞くと、面取りかな?と思う方もいらっしゃることでしょう。まあその通りですが、Tスプラインでベベルエッジを使うとエッジがその場で増えるだけです。
[ベベルエッジ]をクリックし、まずエッジを選択します。今回はセグメント数1のまま、エッジ挿入位置を狭めてOKを押します。
セグメント数1でエッジを挿入しても、結構きれいにエッジが立ちます。セグメント数2にすればより小さいRになりビシっとなりますね。ちなみにこれ以上セグメントを増やしても効果はあまりありません。
おまけ:端の抜き方
エッジを立たせるのは結構簡単にできましたね。ただ問題はエッジの端をどう抜くかです。
小さいRで立たせたエッジを、ある場所からRを緩くしていく…そんな感じの作り方を見ていきましょう。
ちなみに、上のエッジ構成はこんな感じ
エッジの影響は2つ先まで
まずTスプラインの性質から見ていきましょう。Tスプラインは曲率連続のサーフェスを作り出します。まぁここは理解できなくてもいいですが、大事なところは、ある面,エッジの変化は2つ先の面,エッジまで影響を及ぼします。
例を出して見てみましょう。
横に4枚並んだ面があります。Aの面を動かすと、BとCの面に影響がでます。Dは影響を受けません。
面を例に出しましたが、これはエッジでも同様です。Aのエッジに折り目をつけた場合、BとCにも折り目の影響がでますが、Dでは完全に消えます。
エッジに置き換えて見てみましょう。Aのエッジには折り目を付けています。それ以外のエッジには折り目を付けていないため、徐々に折り目の影響は消えていきます。Bは少し強めに、Cではだいぶ消えかかって、Dで完全に折り目の影響が消えます。
これはベベルエッジでも同様です。
このようにTスプラインでは、「小さなRをつけたエッジ」をエッジ,面の数を調整することによって徐々に消していくことが簡単にできます。
どうでしたでしょうか
まぁ今回のはシンプルな形状を例にしたので、簡単でしたが車などになると難しくなってきます。いつか車を例にして記事書けたらいいなぁ…。
エッジの立たせ方と抜き方は以上です!